2014年2月27日木曜日

被災の現状について 釜石大槌地区


                     2013年 9月4日 釜石市 被災地の状況




被災地報告 釜石大槌地区 2013年 12月5日
 

震災から1000日、本日ここにお集まりのみなさま、そして全国の美容関係の皆様に、お礼申し上げます。

 

私は岩手県釜石市で美容室を営んでおりました。片桐と申します。

先の震災により、店舗は損壊、私個人としては、現在サロンに勤務する形で実店舗の再開を目指しております。

 

昨今のテレビやメディアではあまり報道されなくなった私たちの住む被災地ですが、まだまだ目に見える、大きな希望を持てる復興は無く、先ほども申し上げたと通り、震災から1000日がたった今、たいへん厳しい状況にあります。

 

本日は私の地元地域のお話にはなりますが、現況を報告させて頂きます。

 

まず、これまでの被災状況からお話しさせて頂きます。

 

平成2531日現在

釜石市人的被害 死者978名 行方不明者152

大槌町人的被害 死者803名 行方不明者479

 

釜石市においては、市内事業所の約57パーセントにあたる、1,382事業所が被災しております。

 

釜石大槌地区、美容組合加盟店の被災状況

被災前加盟店舗 79

被災美容室 43

震災死亡・震災廃業 15

仮設店舗営業 15

震災後復旧または移転再開営業 13

 

仮設店舗営業サロンの実店舗再会全て見通し立っておりません。

 

現在実店舗再開を目指すサロンは、もちろん行政主導の復興整備計画において

進むわけですが、私の住む、釜石市の行政計画では、住宅や災害復興住宅が最優先の計画になります。

事業の再開や事業地域区割り等については、もちろん住宅や災害復興住宅と並行して進んでまいりますが、進捗がかなり遅れているのが現状です。

市の事業計画から抜粋し説明しますと、最長平成29年度末までの目処となっています。

しかしながら、この復興計画は、これまでも幾度となく変更になり、そしてさらに数年先へ延びることと実感しています。

私の住む市内地域は、未だ解体手付かずの場所もあり、かさ上げの必要な地域のかさ上げすら始まっていません。

 

釜石大槌地区の美容室については、先ほども申し上げた通り、現在15件の店舗が仮設店舗営業や他店勤務にて、実店舗再開を模索しております。

しかしながら、自治体の復興整備が進まず、再開したい想いとは裏腹に希望がもてず、大変疲弊してきました。

 

当時、予測すらできない、震災に遭遇し、店舗を失い、途方にくれました。

長引く避難生活をし、仮設住宅が建設されてから、仮設店舗営業。

現実的に、被災したどのサロンでも、サロンの借り入れ等の支払いが止まることなく、震災月の3月の支払いですら止まることはありませんでした。

 

営業もできない。出来ることは避難所で、支援して頂いたカット用具一式によるボランティアカット。在宅避難者宅への訪問カット。

徐々にワンコインカットもはじまり、それでも収入としては難しく、大変厳しい状況下にありました。

 

仮設店舗でのサロン再開にも大きなお金がかかり、自店舗再開のために、自己投資や借り入れも極力少なくしなければいけない。それでもお客様に来て頂くために、少しでも美容室としての雰囲気を作りたい、そういう想いのなか、全国のみなさんからご支援いただいた資機材が大変ありがたく、心強いものでありました。

 

しかしながら、事実、サロンの再会する厳しくなっている現状があります

一番は金銭的な部分です。

マスコミや報道の中では、2重ローンや債務免除なる話が多く聞かれます。

ですが現実は、実店舗再開時には3重ローンとなる場合があります。

震災前の借入金、仮設店舗開設時の借入金、実店舗再開時の借入金。

これが3重ローンです。

これまでの借入金はすべて免除や一定期間の支払い免除なく、続いています。

 

資本の大きな企業にあっては、それが融通されてきました。

私たちのような個人事業では、先が見えないという状況から、これまでの借り入れに関しては、債務免除や一定期間免除にいたっても、実店舗を再建時に借入できない恐れがあり、支払いを続けているのが現状です。

この現実が私たち被災サロンが直面し、一番厳しい状況に追い込まれている現状と感じています。

私自身も実際のところ、再開できるか難しい状況です。

 

そして今、日々営業のなか、被災サロンに多く聞かれる問題があります。

サロンで使用する資機材の問題です。

 

震災からこれまで、本当に多くの業界関係者の皆様からのご支援をいただきました。

ご支援を頂きながら、大変申し訳ないのですが、

改めて多くの被災サロンに継続した支援をお願いするためにお話しさせて頂きます。

 

震災から多くの皆様にご支援いただいた資機材、そのほとんどが、中古資機材です。もちろん大変ありがたく、これまで使用してきました。

しかしながら、資機材の故障や使用不能が相次いでいる状況があります。

震災による顧客の減少、それに伴う売り上げの減少、いまだ止まらない、地域人口の減少すべてにおいてかなり厳しい状況で、疲弊している中、資機材の使用不能は大きな問題になっている現状です。

 

まだまだ続く、この現状に、ぜひ皆さんのご支援の継続をお願いいたしたく、ご報告させて頂きました。

大変はなはだしく、心痛むお願いであります。なにとぞよろしくお願いいたします。

 

もうひとつ、私個人として、みなさんにお願いがあります。

 

お時間ありましたら、ぜひ、私たちの住む被災地へいらしてください。

メディアで映し出される映像と、その地に立った現状では、大きな差があります。

 

そしてもう一つ。

今日という日は今日しかありません。

明日は、数時間後は、何がどうなるかわからないのです。

 

ここ関東でも大きな震災があるかもしれないと言われています。

 

自分の命、家族の命、友達の命、仲間の命、震災で失ってはいけない命です。

 

知ってください、生きたい命が震災で失われたことを。

知ってください、失われた命の遺族は今もまだ、心が立ち会上がれてないことを。

考えてください、震災から命を守るためにどうすればいかを。

考えてください、自分、家族、友達、仲間の命を守るためにどうすればいいかを。

伝えてください、生きるために今自分がどうするべきか考えることを。

伝えてください、あなたが生きていることが大切なんだということを。

 

私は震災で妻子を亡くしました。もう帰ってこないんだと感じるまで、

そう想うことがありませんでした。

 

私の想いです。伝えて下さい。お願いします。

 

ありがとうございました。